「人間にはファンタジーが必要だ」宇宙ポップと宇宙ファンクという新たな鉱脈を見つけたCutemenの、新譜リリース&ライヴが決定!

もう、タイムマシンで過去の自分の世界に行けるんです

——Humanity」から3か月! 早くもニューシングルが届きました。サウンドも、そこで提示されているメッセージも、リリース間隔も。何もかもが現役感に満ちてますね。

CMJK:そう言ってもらえると嬉しいんですけど、これ、想像以上にスゴいペースなんですよー。2/15に出すためには1/6ぐらいに出来てなきゃダメで。でも僕、12月中の案件を5曲ほどいただいてまして、Cutemenに取りかかれたのは年末の29日!

——ひーっ!

CMJK:頭にアイディアはあったんですけどね。29日に最初の1音を鳴らして、ばーっと歌詞を書いてピコリンに送って。歌いに来たのいつだっけ?

ピコリン:3日かな。お正月の。

CMJK:それでもCutemenはここまで作れる。そういう自信はあります。

——今作の「Forever」と「Cucumber」、いただいた資料に宇宙ポップ宇宙ファンクとありました。ポップとファンクに宇宙という言葉がつくだけで、聴くときのワクワク感が倍増し

CMJK:宇宙ポップなんて言葉ないんですよ?

——わ、わかってます(笑)。

CMJK:(笑)見せ方って大事じゃないですか。「Humanity」を作ったときに、小難しいイメージになったかな? と思って。実際に聴けばポップなんだけど、はじめての人には堅苦しかったかもしれない。あとCutemenで、もっとポップでゴージャスなこともしたいなと思って。

ピコリン:うんうん。

CMJK:ね? 相変わらずSFなわけですが、サイエンス・フィクションじゃなくサイエンス・ファンタジーにしようかと。

——その定義の違い、実はよく分かっていません。

CMJK:サイエンス・フィクションっていうのは、ガッチガチのSFなんですよ。サイエンス・ファンタジーになると、日常と非日常を分断しなくっていい。今って、そうじゃないですか。ARなりVRなりで。

——なるほど! ARVRも、もはや日常です。

CMJK:タブレットやスマホ無しの生活は、我々もう無理じゃないですか。ネットの中に生きる人もいるし、それぞれがファンタジーを抱えてる。何年後か何十年後かには、ぜったいに人類は宇宙に行くし。そのとき「昔こういう風に言ってた人がいたんだね!?」と言われる存在に、私共はなりたいんです。

ピコリン:想像だけの世界だったものに、今はもう手が届くんですよね。360度を映像に残せたり。それって、タイムマシンに近い状態じゃないかと思って。子供の小さい頃の映像を、お父さんが360度で撮影するじゃないですか? その子供が大人になってお父さんは死んじゃってて、でも、その映像を見ると360度まるっきり子供時代に戻れちゃうんですよ。それってスゴいなあと思う。もう、タイムマシンで過去の自分の世界に行けるんです。

——たしかに。映画や小説の中でイメージしていたのとは違う形かもしれないけれど、実際にはタイムマシンそのものですね。

CMJK:それこそが、サイエンス・ファンタジーですよ。

ピコリン:でも僕、タイムマシンって危険だと思うんですよねー。

CMJK:えっ、タイムマシンの話を引っぱるのか(笑)。

ピコリン:タイムマシンが出来ちゃうと、過去に戻って未来をゆがめたり、自分も消えるかもしれないじゃないですか。そういうタイムマシンよりは、今の、過去の空間にだけ戻れるタイムマシンの方がいいなって思います。

CMJK:酔っ払ってるのか(笑)?

ピコリン:(笑)今日はバイクだから飲んでませんよ~。

——いま映画という言葉がでてきました。今作ではピコリンの名前が歌詞に登場しているのも、それっぽいですよね。

ピコリン:僕はピコリンではじまる「Cucumber」の歌詞は、「ピコリン・イン・ザ・スペース」(’92Check Manifest」収録)の続編っぽいですよね。あのピコリンは、宇宙に行って戻って来てない。アルバムの中では1992年に人生も終わってて。

——それが実は宇宙で生きていたという?

CMJK:いや、そこは違う世界でいいんですよ。どれもつながってないし、各々にいろんな宇宙がある。世界も宇宙も一個じゃないし、いろんな可能性を秘めている。人類はそこにこそ活路を見出せるし、それこそ「Humanity」の次で言いたいことなんです。

人間ほんとに極限状態になったとき、体にいいもの食うか?

——では、曲についての具体的な話を。「Forever」は、ピコリンがぜひ歌いたいと言ったそうですね。

CMJK:ほんとは「Cucumber」をシングルにしたかったんですよ。最近、僕の中に人生で4度目のファンクブームが来てて、もうP-FUNKばっかり聴いてて。星型のメガネをかけたいくらい(笑)。プリンスが亡くなったのも大きかった、二人ともプリンスが大好きでしたから。

ピコリン:うんうん。

CMJK:先人たちのファンクを参考・参照しつつ、自分たち独自のCutemenファンクをやるべきだって思ったんですよね。それで作ってみたものの、ピコリン先生は苦手そうだったから「Forever」も聴かせたら、「うおお、これイイっすねー、シングルっすねー!」って勝手に決めちゃったもんで。

ピコリン:ラフを聴いたんですけど、完璧にエレポップだったんですよ。

CMJK:昔のエレポップね。ちょっと懐かしい感じの。

ピコリン:即反応しましたよ。僕は、ずーーっと聴いてるのがエレポップ、シンセポップなんで(笑)。

CMJK:ずーーっと聴いてる(笑)。

——その「Forever」。ド頭からスペイシーで、遊園地のアトラクションのようでもあり。

CMJK:僕、得意なんですよ。そういう仕事いっぱいやってるんで(笑)。なんで他の人の仕事でばっかやってんだ?と思って、Cutemenで生かしたわけです。まさにアトラクションのような。

——ところで過去 未来 異次元世界 何処へでも行けるという詞は、ファンタジーのようでいて、一方でとても現実的でもある気がしました。

CMJK:どういうことですか?

——たとえば学校でいじめられている子供とか、仕事や人生がキツい人は、目の前にある道しか見えなくなりがちですよね。

CMJK:ああ、なるほど。学校でいじめられている子には、学校がすべてだと思うなって言いたい。

——こことは違う、ぜんぜん別の未来が存在しているよ、と。

CMJK:うん、世界は一つじゃないんです。自分の感性を大事にして「いつか違うところで花開け!」って言いたいし、もうみんなに必ず向いていることってあって、ハッピーな空間があると思うんですよ。SFって、宇宙の話だけじゃないですからね。

——人間の可能性の話

CMJK:んーと、今回の裏テーマみたいな話になるんですけど。我々、クラブ音楽の人だと思われすぎてて。東京ローカルの人だと思われすぎてるんですよね。でも、引きこもってる人とかともリンクしてるはずなんですよ。僕らクラブでイェーイのパリピではありますが、そうでない側面も大きいんですよ、と。話ズレてるかもしれませんが、オタクの味方だぞ! と。

——ああ、まさにパリピとマイノリティの同居。

CMJK:やっぱり光あるところには影があって、影あるところには光があって、両方を表現しないとファンタジーじゃないから。たとえばティム・バートンみたいな。それにウチには、東京に染まってないピコリンがいますからね(笑)。

ピコリン:え?

CMJK:ピコリン東京ローカルじゃないだろ? 東京にも染まってないしさ、なまりも直さないしさ。

ピコリン:(笑)。

――宇宙でキュウリを食べるし。

CMJK:「Cucumber」はね、僕ら東北人だし、夏といえばキュウリの浅漬けをかじってましたから。な?

ピコリン:(笑)

CMJK:ピコリンが宇宙でヤバいことになってるときに、キュウリ食ってたら面白いよなあって考えたらね、一人でゲラゲラ笑えてきちゃって(笑)。人間ほんとに極限状態になったとき、体にいいもの食うか? っていう。

――その思考の飛躍がすごいです!

CMJK:僕の思うポップミュージックって、刺激的なものなんですよ。聴いてて楽しい気分になったり、ちょっと考えさせられたり、色々と脳を刺激するような。人間にはファンタジーが必要だし、行く道はいくらでもあるんだ、と。この2曲では、それをしっかりハッキリ演ろうと思いました。

鉱脈を発見してしまった!

――そして、318日にはライヴも決定しています!

CMJK:「地球脱出計画・極秘ファイル1」!

――宇宙ポップ・宇宙ファンクを携えて地球を出ようぜ、と?

CMJK:その前に、時節柄「今の地球ヒドくね!?」っていうのも演りたいです。

――日本でも世界でも、さまざまなことが起こっています。

CMJK:「このままの地球じゃ、人類はいつか必ず宇宙に行かなきゃいけないぞ!」っと、ピシっと。そこはCutemenなんで。

――ピコリンはどんなライヴを考えていますか?

ピコリン:僕はわかんないです(笑)。

CMJK:なんだそれ(笑)。

ピコリン:潤さんのアレンジとか会場とかお客さんで、その場スイッチが入るんで。

――こういうときも静かにCMJKの話を聞いてるピコリンが、ステージに出てくるとオーイェーって別人になるのが、ほんとにスゴい。

CMJK:そこはもう、アマチュアのときから。昨日今日のオーイェー・ピコリンじゃないですからね(笑)!

――CMJKが自慢気(笑)。

CMJK:それはないですけど、このゴリラみたいなオジサンが無敵になって歌うのはね、ほんと一度観てみてほしいですよ。

――音源では、歌詞サウンド共に頭と心をうごかされるCutemenですが、ライヴになると頭がふっとんで心と体をうごかされます。プリミティヴになるというか。

CMJK:そう。Cutemenをはじめた頃から、テクノロジーに抗いたいというのがあって。機械の音をバックにピコリンが歌えば歌うほど、肉体的なものが浮き彫りになっていくんです。だから宇宙ファンクも、とてもCutemenらしいし。

ピコリン:うんうん。

CMJK:機械の音をバックに、ゴリラがウォーって言うんだよな?

ピコリン:(笑)

CMJK:あっ、そうそう! 今回のシングルでは、ピコリンがソウルフルにンン~♪”って歌ってるんですけど。それも生で聴いてください(笑)。

ピコリン:なんですかそれ~(笑)。

CMJK:「和田アキ子さんみたいですねぇ~」とか言いながら、ノリノリでハッ!とか

言ってたじゃんか(笑)。

――あはは(笑)。

CMJK:ブラックミュージックの人って、それぞれの人が持ってるノリがあるじゃないですか。ジェームス・ブラウンならゲロッパ!とか、マイケル・ジャクソンならフゥ!とか(笑)。

ピコリン:ふふっ(笑)。

CMJK:僕、ピコリンにもそういうの無いかなー? と思って考えたら、今回2曲とも共通して入ってるのがンン~♪”なんですよ。キモカッコいいみたいな(笑)。

――ちょっとアダルトな(笑)。

CMJK:そうそうそう、キモカッコいい(笑)。

——いやあ、今のCutemen楽しそうですね!

CMJK:そうなんですよ。「Futurity」を作って、Cutemenにしか出来ないことなんて無いと思って解散したんですけど。「Humanity」を作ってたら義務感に駆られたというか、我々にしかできない鉱脈を発見してしまって。

――すごい手応え!

CMJK:ですよ(笑)。

――鉱脈がどんどん発掘されていくのが楽しみです!

CMJK:でしょ? 衣装とかでもやりたいことがホントいっぱいあるんですよ。CDを持ってない人も、踊るオジサンたちを観に、ぜひ来てください! おもしろいこと演りますから。

(取材・構成:元生真由)